手のしびれの原因とは?


こんにちは、私は大阪市の平野区で開業している徒手療法家です。ここでは腕や手のしびれの原因となる要素について記してみようと思います。

少しなりとも、手のしびれでお困りの方のお役に立てれば幸いです。


とは言え、ここで言及するのは徒手的な療法で治療可能な「末梢神経由来のしびれや痛み」に限られます。

脳や脊髄は中枢神経ですが、脊髄から枝分かれしたものを末梢神経といいます。


末梢神経は皮膚の感覚と運動を支配していますので、圧迫や癒着などのストレスを受けると、支配領域の末梢にしびれや痛み、筋力低下などの症状が現れます。


しびれは末梢神経だけではなく、脳や血管、血糖値の問題 でも生じますので、体が発する「しびれ」のサインには注意が必要です。

傾向としてしびれや痛みが末梢神経由来の場合は、感覚の異常が生じているエリアはある程度限られています。

つまり、例えば腕の外側のみがしびれる、親指と人差し指のみがしびれる、小指と薬指のみがしびれる、という具合にです。


全ての指がしびれる、両腕がしびれる、というような場合は病院でのしっかりとした検査が必要でしょう。



腕のしびれ、手のしびれの解剖学と病理学


ここでは腕や手の痺れに関係する解剖学や病理学を簡単に説明してみましょう。

まず人間の背骨は24個の骨がつながって出来ています。そしてこの骨の両脇からは末梢神経が体中に向かって伸びていきます。

背骨の中には空洞があり、中には中枢神経である脊髄が納まっています。末梢神経はこの脊髄から枝分かれしたものです。

ちなみに脳や脊髄のような中枢神経は一度ダメージを受けると、現代の医学では回復させる事は出来ません。しかし末梢神経は回復力を持っています。


首の骨、つまり頚椎は7個ありますが、腕や手を支配する神経のほとんどは首の両脇から伸びています。


この神経は束になったり枝分かれしながら、筋肉と骨の間、筋肉と筋膜の間などの通り道をたどって、指先まで伸びて行きます。

神経は基本的に感覚と運動を支配していますが、物理的なストレスに決して強い構造にはなっていません。


神経は頚椎の両脇の出口や、その後の通り道でも圧迫や癒着などのストレスにさらされる事で、その神経が支配する領域にしびれや痛み、感覚の鈍化などの感覚異常や、筋力の低下、弱化などの症状が現れます。





腕のしびれ、手のしびれの原因1

頚椎

頚椎の両脇から神経が出ている事を思えば、頚椎のコンディションが神経にストレスをあたえ得るのは容易に想像できるでしょう。

頚椎の関節が劣化する、というような明確な問題があれば当然の事、単に首周りの構造物に日々のストレスが蓄積している、という状態であっても神経の良好な流れは滞ります。


関節の劣化、変形などはダイレクトに神経に物理的にストレスをあたえ、感覚の異常や筋弱化などを引き起こします。


首周りの構造物にストレスにダメージが蓄積された状態では、それのみでは明確な症状が出ることは少ないでしょう。

しかし神経の流れを川に例えれば、源流が軽くせき止められるだけでも、その先の流れはより容易にせき止められやすくなってしまいます。


実際に患者様に触ってみると、末梢の神経の通り道に手のしびれのメジャーな原因があるケースであっても、同時に首周りや頚椎の関節、椎間板にも何らかの問題がある場合の方が多いのです。


もちろん頚椎は背中、つまり胸椎とつながっていますので、頚椎のみに原因がある訳ではありません。むしろ頚椎は他とのバランスで言えば被害者かもしれません。

相対的な頭の位置や、胸椎の湾曲の角度、日々の姿勢や座り方なども頚椎へのストレスを増加させる要素となります。



腕のしびれ、手のしびれの原因2

椎間板

椎間板は背骨の骨と骨の間にはさまっている繊維軟骨で、動的クッションのような働きをします。

この椎間板の両脇には神経が通っていますので、椎間板が劣化して膨らんだり、はみ出したりすると、神経に物理的にストレスをあたえる事があります。

この状態は一般的に椎間板ヘルニアと言われています。


椎間板ヘルニアは中~下部の椎間板で発症する事が多いのですが、それは構造的に頭を支える上で、この部位にはどうしてもストレスがかかってしまうからです。

さらに体に歪みやねじれ、不良姿勢などの要素が加わると、中~下部の椎間板の劣化、変性が加速してしまう結果となります。

つまり椎間板は頚椎の場合と同じく、被害者であると言えます。


例えば外科的手術では、はみ出た椎間板を切除しますが、本当の原因の部分、つまり特定の椎間板にストレスがかかっているバランスやメカニズムは放置したままです。

手術により完治しない、または良い状態が長持ちしない、という事が起こるのはそのためです。


多くの場合、椎間板ヘルニアは徒手療法が有効です。椎間板自体はある程度は自力で回復する力を持っています。

体にとって正しいアプローチは、はみ出た椎間板を切る事ではなく、ヘルニアした椎間板が回復できる環境を作る事なのです。



腕のしびれ、手のしびれの原因3

筋肉、筋膜

腕や手を支配する神経は、頚椎や胸椎の両脇から出た後、束になったり枝分かれしながら、様々な通り道を辿って指先まで伸びていきます。

神経はその過程で筋肉と筋肉の間、筋肉と骨の間、皮膚と筋膜の間などを通っていきます。

腕のしびれや手のしびれは、整形外科などでは安易に首のせいにされがちですが、実際にはその先の通り道のどこかに主な原因があるケースが、実際にたくさん存在します。


神経はとてもデリケートですので、圧迫や癒着によって容易にストレスを受けます。

理論的には神経が走行する場所であればどこであっても、圧迫や癒着によって問題が生じる可能性があります。

ここではその中でも、実際にしびれや痛みの原因となるケースが多い筋肉をいくつか挙げてみましょう。




小胸筋

小胸筋は烏口突起という肩甲骨にある突起から、肋骨に向かって走行しています。この筋肉の真下を腕の神経の束が通ります。

ゆえに小胸筋 が硬く短くなったり、繊維化してサイズが分厚くなったりすると、容易に神経に物理的ストレスをあたえます。

椎間板ヘルニアとも誤診されますが、小胸筋が主な痺れの原因となっているケースは臨床の場ではよく診られます。


斜角筋 

斜角筋は三つありますが、頚椎の骨の横から肋骨に向かって付いています。そして一番前側にある前斜角筋の真下を神経の束が通ります。

この斜角筋は頚椎の関節のコンディションにも依存しますので一番最初に述べた頚椎の項目とも重なります。

特にストレートネックの方は斜角筋が硬くなる傾向がありますので注意が必要です。

やはり椎間板ヘルニアと誤診される傾向があります。


円回内筋、回外筋

円回内筋は手首を内側にねじって手のひらを下向きにする筋肉です。肘の円側にある筋肉ですが、この筋肉の間を正中神経が通っています。

ここで正中神経がストレスを受けると、しびれは手の指の親指側に生じます。


回外筋は逆に手首を外側にねじって 手のひらを上に向ける筋肉です。肘の外側にある筋肉ですが、この筋肉の下を橈骨神経が通っています。

ここで橈骨神経がストレスを受けると、しびれは手の甲側に生じます。


仕事や趣味などで腕を使う方が発症する傾向があります。ちなみにこれにはパソコン仕事も含まれます。



腕のしびれ、手のしびれの原因4

トンネル

人間の体には神経の通り道となっているトンネルのような構造物があります。腕や手を支配する神経もいくつかのトンネルを通ります。

理由がなんであれこのトンネルが狭くなる事で、神経は物理的にストレスを受けます。ここでは代表的なトンネルを挙げてみましょう。




手根管症候群

手根管は手首にありますが、屈筋支帯というリストバンドのような帯と手根骨に囲まれたトンネルです。

どんな理由であろうと、このトンネルが狭くなる事で、この中を通過する正中神経がストレスを受けます。

神経由来のしびれや痛みは、主に親指側の指に生じますが、自覚としては指よりも手のひらにより症状を感じる事もあります。


神経の他にも、血管や指に付く筋肉の腱なども、手根管の中を通ります。

例えば何らかの理由でこの腱が肥厚したり、手根骨の一部が変位したりしてもトンネルは狭くなります。

他にも妊婦の方がホルモンバランスの乱れによる腕のむくみ等により発症することもあります。


肘部管症候群

肘部管は尺骨神経の通り道で、肘の内側にあります。

尺骨神経 は上腕骨の内側を巻くように走行し、筋膜を貫いて尺側手根屈筋の下に入っていきますが、この過程で物理的なストレスにさらされる事があります。

尺骨神経由来の痛みやしびれは、腕や手の小指側に生じます。


尺側手根屈筋でけでなく、上腕骨の内側 から付いている筋肉に問題が生じると、尺骨神経にとってはストレスな環境となります。

俗に言うゴルフ肘(内側上顆炎 )から肘部管症候群を発症する事もあります。


もちろん内側上顆炎はゴルフをする方だけがなる病態ではありません。



橈骨管症候群

橈骨神経は回外筋の手前で浅枝と深枝に枝分かれします。深枝は回外筋の中に入ってまた外側に出てきますが、このトンネルを橈骨管と言います。

この神経が圧迫や癒着などのストレスを受けると、肘の外側の痛み、手首や指を反らす筋肉の弱化等の症状が現れます。

いわゆるテニス肘(外側上顆炎)と併発することもあります。

ちなみに外側上顆炎はテニスをしている方だけがなる訳ではありません。

例えば40代以降になれば、パソコン仕事をされている方も 外側上顆炎になる事があります。



治療について

このサイトでは腕のしびれ、手のしびれの原因について代表的なものを記してみました。

しかし実際の臨床の場では病理学的に典型的な症状を訴える方のほうが少数派といっても過言ではありません。

病理学的には理屈に合わない症状を訴える方や、複数の原因が組み合わさったような症状を訴える方もいらっしゃいます。


実際に腕や手のしびれの原因は、一箇所にのみ100%の原因がある事のほうがまれです。

たとえば手根管症候群に見える方であっても、症状が100とすれば、実際には首に20%、小胸筋に30%、手根管に50%の原因がある、という具合にです。


ゆえに腕や手のしびれの治療はトータルにケアすることで、より良い結果が得られる傾向があります。




徒手療法


整形外科的には結果のみを見た治療を行います。例えば頚椎の椎間板ヘルニアにおいては、はみ出した椎間板を切除する、という考え方です。


私たちは結果だけでなく原因を見ます。椎間板が劣化した原因を取り去ることで、ヘルニアを起こした椎間板が回復できる環境を作ります。

その中には患者様の姿勢や座り方の改善も含まれます。


筋肉や筋膜が神経にストレスをあたえているケースでは、主に軟部組織にアプローチする必要があります。


繊維化、肥厚した筋繊維や腱は一度壊してから再生させる必要があるかもしれません。筋膜の癒着がある場合は、それをはがしてなめらかに滑る環境を取り戻す必要があるでしょう。


神経の通り道のトンネルも同様です。外側からの操作でトンネルを狭くしている要素を可能な限り取り除くことが施術の目的となります。



もちろん全ての手のしびれが、100パーセント徒手療法で治療可能だとは言いません。


しかし手術を受ける前に、積極的な保存療法を試してみるべきだと個人的には思います。実際に手術を受けたが完治しなかった、あるいはしばらくして再発したという方も決して少なくありません。


最後に

徒手療法といってもどこに行けばいいのか分からない、という方もたくさんいらっしゃるでしょう。

手のしびれに関しては整骨院や接骨院、マッサージ屋さんではなく、カイロプラクティック院に行かれる事をお勧めします。

まともなカイロプラクターであれば、かなりの確率であなたに貢献してくれるはずです。

手のしびれの治療においては、当然ながらまず原因を突き止める事が重要となります。


あなたがどこの院に行かれようと、術者がろくに問診や触診もせずに施術に入ろうとしてきたら、残念ながらその院はハズレだと思って間違いありません。


その院では患者様が何を訴えようと、同じ内容の施術をしているはずです。

いわゆるマニュアル化された施術を行う院は残念ながらたくさん存在します。


まずその院の質や姿勢を見極める目安としては「しっかりと問診をしてくるかどうか?」が大切な要素と言えます。


例えば一日の中で最もしびれや痛みを感じるタイミングは?

症状が悪化する動きや体勢があるか?

逆に楽になる体勢は?

他にも体の色んな部位を触りながら、痛みやしびれに反応があるかどうかを検査する事もあります。

場合によっては、どの神経に問題が起こっているのかを確認するために、筋力の検査が必要な場合もあるでしょう。


まともな院であれば、初診時に術者は施術に入る前にこれらの問診、検査等の工程を踏むはずです。


あなたが徒手療法を試してみようと思われた時に、これらの情報が目安や判断材料になれば幸いです。

どうかあなたが良い院に出会えますように。